最近、さだまさしの歌を聞いて涙が出るめでぃすけ(@Medisuke_tw)です。さだまさしにハマりたくないよ〜。・゚・(ノД`)・゚・。
今回はデリケートな悩み、
『便秘』『便秘薬』
薬剤師として10年戦士ですが、『便秘』『便秘薬』について初めて深く考えることが最近あったので、備忘録として残します。
前編は『便秘』のことに重点が置かれていますが、後編は『便秘薬』に重きを置いてあります。
便秘とは
便秘症は、単に「便が長い期間出ないこと」と思われがちですが、排便頻度、便形状、排便時の気分、排便後の気分など、判断・基準を設けるのが難しく、いくつもの要素が絡み合ってます。なので、厳密な定義は存在しません。
そう、便秘かどうかの判断は、あなたの感じ方、ドクターへの伝え方で決まるのです!一応便秘の判断に使う指標はあります。
参考までに、私は患者が、食事量は普通なのに2〜3日少しも排便がなかったら便秘かな?っと判断します。ちなみに私は、常にゆるいです。
他にも、排便間隔は個人差が大きく、3〜4日に1回の排便でも、すっきりとした気持ちのよい排便があるならば、必ずしも便秘症とは言い切れ無いでしょう。一方、毎日排便があっても、便が硬い、強くいきまないと出ない、残便感がある、などの不快な症状があり、患者さん・お客さんが困っていると感じる場合には、便秘症の可能性があります。
世の中の便秘へのイメージ
便秘への考え
世の中には便秘を病気ではないと思っている人が結構います。*あるアンケートでは半数以上が『便秘は病気ではない』と答えたみたいです。
*2014年に大規模調査を実施、日本成人20~79歳5155人(男性2542人、女性2613人)を対象
じゃあその人達は『便秘』を何だと思っているのでしょうか?
そのアンケートの半数以上の人が『便秘は体質』と考えていたそうです。
だからでしょうかね?便秘への対応法として、市販薬(OTC薬)を買ったり、病院受診する割合はかなり少ないみたいです。薬を使わない方法でみなさん頑張っている様子。
みなさんはどう思いますか?
便秘は病気ですよ。便秘薬という医薬品があるくらいなんですから。
便秘は女性、高齢者に多い疾患
女性の場合、便秘を3つのタイプで分けた時、全てにおいて女性特有の以下のような原因が考えられるそうです。
- 結腸通過時間正常型は、女性に多いダイエットなどによる食事量の減少や、意識的な排便抑制の結果起こる直腸の感受性の低下などが原因。
- 結腸通過時間遅延型は、おもに初潮後の女性に多く、女性ホルモンが影響。
- 排便排泄障害型は、原因のひとつに腹筋・骨盤底筋群の筋力低下がある。女性はこれらの筋肉がもともと弱いので、便秘になりやすい。
高齢者の場合、歳をとってから便秘になる方が多いです。男性は定年退職すると運動量が急激に落ちるので60代で便秘になることも多いそうです。
-
高齢者は便意に気づきにくいことがあり、その状態が継続すると、習慣的に便意を我慢しているのと同様に、便意が低下する。つまり、直腸に糞便が到着しても便意を誘発されず、排便運動が起こらなくなってしまう。便意に気づきにくい状態が継続すると、便意が低下する。
-
運動量の低下などに伴う大腸の蠕動運動が低下し、蠕動運動が低下すると内容物が停滞し、水分吸収時間が増大する。その結果、便が固くなり結腸内で便がスムーズに移動しなくなることで便秘になる。
高齢者の便秘では、高血圧症を合併している可能性も高く、脳血管リスクが高い人も多いので、イキマないで出せるよう薬の量を調節する。
おまけで、年齢によっても便秘の原因や、便秘に対する考えが違うことがあります。
- 30代
・仕事や人間関係によるストレス性の慢性便秘型
・腹痛や腹部膨満感を訴える
・IBS(Irritable Bowel Syndrome:過敏性腸症候群)便秘型が多い - 40~50代
・病悩期間が長い
・長患いで市販の下剤を服用して、より重症化している傾向
・痛みより便を出す希望が強い
「便秘は便を出せば良い」と思ってない?
やっと本題です。
「便秘は便を出せば良い」と思っている医者・薬剤師が多い!
実は、私もその1人でした。
というか、急になった便秘は単発で薬で出してハイ終了で良いかもしれないですが、ある程度時間をかけて便秘になった方や、長い間便秘で悩まされている方、他の疾患が考えられる方には、便を出すだけでは根本的には解決出来ていない気がするんです。便秘症状をしっかり診て、食事・生活習慣、便秘薬の種類、飲み方、便の出し方を考えなきゃいけないかもしれません。
便秘薬の使い方(市販薬も医療用薬も考え方は一緒)
まず、ちょっと便通がよくないかもくらいなら食事・生活指導で十分。薬を使ってすぐに解決でも良いですが、そうやって便を出しても癖になる方や繰り返す方、副作用など起こる可能性があるので、薬なんて飲まないで済むならその方が良いですよね。
便秘薬を使う場合、最初はまだ大腸癌などによる他疾患からの便秘の可能性を除外できていないため、どんな便秘にも安全かつ有用な薬剤を選択するのが大切!最初の段階で腸を刺激して便を出させることは、腸に負担をかけて平滑筋の収縮力を弱め、ひいては難治性便秘になることがあります。便の軟化や通過を助ける薬を選ぶ必要があります。
刺激性下剤はレスキュー薬(頓用)として、1週間に2回以下くらいなら併用しても良いと思います。
このような薬物療法で改善が見られない場合は、直腸や肛門の病気が背景にあるかもしれませんから。
しかし、実際効果の高い刺激性下剤を連用・増量で服用を続けている人はたくさんいます。ドラックストアでは、ピンクの小粒(市販では最強クラスの便秘薬)を1度に何箱も買っていく人もいます。処方箋でも、刺激性下剤のみがずっと処方されている人を見かけることもあります。
ここまで来ると、便秘薬をやめるのは難しいでしょう。
そして最終兵器が、浣腸・坐薬です。直接便をやわらくし、直腸を刺激するので、即効性と効果は一番。もちろん浣腸・坐薬も刺激性なので、これも連用は避けるようにしましょう。
今回は『薬剤師も知らなかった便秘薬への考え方ー前編ー』でした。
『便秘』『便秘薬』って身近な疾患でありながら、あまり複雑ではなく、新薬が出ない領域なので医療人の中でも、しっかり勉強する機会の少ない疾患だと思っています。
なので、整理する意味でまとめてみようと思ったんですが・・・
実は、まとめたい情報がまとめきれず、前編・後編なってしまったってオチ。・゚・(ノД`)・゚・。
後編は、私のドラックストア・調剤薬局での経験から、実際の便秘薬の説明・対応・考え方などまとめます。⇦実際こっちがメイン