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【薬剤師解説】高尿酸血症で怖いのは痛風じゃない!最悪、死。

投稿日:2020-12-14 更新日:

こんにちは、めでぃすけ(@Medisuke_twです。

↓前回↓の続きです。

今回は

  • なぜ尿酸値7.0mg/dL以上が危ないのか
  • 痛風以外の怖い病気→最悪、死
  • 尿酸値は6mg/dL以下を目標に
  • 尿酸値が上がる3つのタイプ+1
  • 尿酸値をあげない方法

これら5点について書いていきます。

なぜ尿酸値7.0mg/dL以上が危ないのか

考える男の影

尿酸値が7.0mg/dL以上を高尿酸血症と定義しています。

つまり尿酸値が高いってことですね。

ではなぜ、7.0mg/dL以上が高尿酸血症と定義されているのでしょうか?

血液中に溶けることができる尿酸の濃度は6.8mg/dL(37℃、ナトリウム濃度140mEq/lの状況下)です。

なので、尿酸の濃度が7.0mg/dLを超える状態はほぼ飽和状態。

すなわち、いつ結晶が析出してもおかしくない状態ということなのです。

しかも、体の末端である足の先になると体温も低くなるのでもっと析出しやすくなりますね。

よって、尿酸は針状の結晶なので関節腔内にトゲトゲした結晶が析出し、白血球が尿酸結晶を食べて、白血球が壊れてしまって色々な化学物質・伝達物質が出てきて炎症が起こり痛風発作を引き起こします。

なので、尿酸値が7.0mg/dL以上は高尿酸血症と呼ばれていて、痛風関節炎や腎機能障害、動脈硬化などいろんな病気になりやすいと言われているのです。

ちなみに、痛風も尿酸の結晶ができる場所で病気の呼び名も変わります。

  • 痛風関節炎(関節)
  • 痛風結節(皮膚)
  • 痛風腎(腎臓)
  • 尿路結節(尿路)

高尿酸血症の患者は年々増加しています。痛風がでてないからといって油断しないようにしましょう。

痛風以外の怖い病気→最悪、死

星空

まず高尿酸血症でみなさんが最も警戒する病気『痛風』ですが、前回も書きましたが高尿酸血症でもすごく数値が高い場合は別ですが、痛風になる可能性は思ったより高くないんです。

ここで言う『痛風』は痛風での急性関節炎痛風発作です。

が!

一方、痛風発作(痛風で関節が急に痛くなること)は尿酸値が低くても発症することがありますので注意してくださいね。

➖参考資料➖

下のグラフは痛風発作時の尿酸値をプロットしたものです。
急性発作期(急に痛くなるとき)は尿酸値が平均で7.4mg/dLですが、だいたい6mg/dL前後でも痛風発作が起きているのがわかります。

痛風発作時の尿酸値

痛風発作時の血清尿酸値は高くない

痛風が起きないからといって、尿酸値が十分に下がっていないのに薬の服用が適当になったり治療に消極的になる人はわりといます。

痛風が起きることは生死の問題になりにくいですし、痛みがともなうので治療に積極的になりやすく、ある意味良いのですね。

ただここで言いたいのは、痛風になるならないという問題ではなく、

尿酸値の高い状態が続くことが危険ということです。

無症状なケースなら、なお危険でしょう。

高尿酸血症の状態が知らない間に体をむしばんでいくんです。

腎臓では尿酸を排泄するのに負担もかかり、尿酸濃度も高ければ腎臓でも結晶はできます。

そして知らない間に腎臓が弱っていき、腎臓が壊れたら(腎不全)もう透析です。

血管では動脈硬化が進行し心臓病や脳卒中などなります。

最悪、死にますね。

高尿酸血症はメタボや腎障害と合併しやすいこともわかっています。

そして動脈硬化のリスクをさらに高めるので(機序はまだ不明)、心臓病、脳卒中などのリスクをさらに高めることになります。

もっと死に近づきますね。

なので高尿酸血症が続くと生死にかかわる病気につながりやすいということになります。

痛風が起きてないからといって、尿酸値が高い状態が続くと気づいた頃にはもう遅いってことがあるかもしれません。

なので、しっかり治療に取り組みましょう。

そして『尿酸値が高い』とわかったら、痛風や尿路結石などの症状がなくても生活習慣を見直し,尿酸値を下げるように心がけましょう。

尿酸値は6mg/dL以下を目標に

長い道

高尿酸血症・痛風の患者は治療目標尿酸値6mg/dL以下が推奨されています。

今までの内容から、尿酸値7mg/dL以上は危険なのはわかったと思いますが、なぜ6mg/dL以下を目標にするのでしょうか。

それは、尿酸の濃度7.0mg/dLの溶解限界値よりも低い濃度である6.0mg/dL以下にすることで、体内にたまった尿酸の結晶が溶け始めるからです。

  • 尿酸を結晶にしない。
  • 尿酸の結晶を溶かす。

この2つが尿酸値の治療目標が6.0mg/dL以下になっている理由です。

尿酸値が上がる3つのタイプ+1

3人の影

尿酸値が高くなる人には3つのタイプがあります。

  1. 尿酸はプリン体の最終産物で、ほとんどは体内で産生されていて血液などの体液に溶けています。この尿酸の産生が過剰になる尿酸産生過剰型
  2. 尿酸は主に腎臓から尿中に排泄されています。その他腸管など腎臓以外からも排泄されてはいます。この尿酸の排泄能力が低下する尿酸排泄低下型
  3. 1. 2. 両方が起こっている混合型

割合はだいたい以下のようになります。

生産過剰型
15%
混合型
25%
排泄低下型
60%

ただ、最近の新たな考え方はで腎外排泄低下型というのも注目されていて、この割合は加えてませんがこれから重要な考え方になると思います。

実際この考え方を考慮に入れた医薬品ユリス錠が2020年5月に販売開始されました。(高尿酸血症の領域が活性化しそうで楽しみです)

男女でも高尿酸血症になる割合は違い、成人男性で20%、成人女性で5%となっていて一般的に男性の方が尿酸値は高いです。

なので、尿酸値が上がる仕組みは人それぞれ違うので原因・対策や治療薬も変わってきます。

尿酸値をあげない方法

爽快!

尿酸値を上げるものにはいろんな要因があります。ざっと上げてもこんな感じ。

  • 肥満:むしろメタボ。尿酸の排泄低下
  • 飲酒:前回記事で説明
  • 果糖(フルクトース)摂取:尿酸産生増加と排泄低下
  • プリン体摂取:前回記事で説明
  • 脱水:尿酸の濃度が濃くなる
  • 無酸素運動:乳酸の影響で尿酸排泄低下
  • 低酸素:乳酸の影響で尿酸排泄低下
  • ストレス
  • ケトーシス
  • 腎不全
  • 薬剤
  • 性ホルモン
  • 骨髄疾患

これらすべて回避は不可能でしょう。少しずつ意識していくのがおすすめ。

尿酸が上がるタイプが違っても基本的に気をつけることは一緒です。

詳しくは省きますが、肥満など高血圧、糖尿病、脂質異常症などを含むメタボリックシンドロームは最も健康から遠い存在。

肥満は高尿酸血症の悪化の原因になり、それもプラスして更に死に近づきます。

以上の要因から生活習慣で対策できることを考えて、一般的に高尿酸血症や痛風の患者に対する生活指導はこうなります。

  • 肥満の解消
  • 食事療法
    摂取エネルギーの適正化(標準体重×25~30kcal/日)
    プリン体の摂取制限(400mg/日以下推奨):肉食を控えて野菜を多く摂る
    尿をアルカリ化する食品の摂取(尿酸を排泄を促し結石もできにくなる)
    十分な水分摂取(尿量2L/日以上)
  • アルコールの摂取制限
    日本酒1合、ビール500mL、ウイスキーダブル1杯(60mL)、ワイングラス2杯(240mL)、焼酎お湯割り1杯
    禁酒日2日/週以上
  • 果糖の摂取制限
    清涼飲料水500mL
  • 適度な運動
    有酸素運動
  • ストレスの解消

高尿酸血症でない人も知識としてもっていて損はないと思います。

一般論になりますが、食事もバランス良くとってください。

簡単に言えば、

  • 腹八分目
  • 色どりよく
  • 節酒

です。できることから始めてください。

食事療法の補足

肉類はプリン体が多いけどタンパク質摂るという意味では必要です。食べすぎないようにして、豆腐など良質なタンパク質を含みかつプリン体も少ない食品に少し切り替えてみるのも良いでしょう。

調理法も『ゆでる』ことでプリン体が減少します。

参考までにエネルギーダウンさせる調理法

揚げる>炒める>煮る>蒸す>網焼き>ゆでる

野菜や海藻類は、プリン体も少ないしアルカリ性食品で尿がアルカリ化になりやすいです。

参考までに、他にも尿酸値を下げる食品というものがあります。

  • 乳製品:プリン体の吸収抑制、尿酸排泄促進など
  • タンパク質:尿酸排泄促進など
  • チェリー:ポリフェノールが尿酸排泄促進
  • ビタミンC:尿酸排泄促進(400~500mg/日以上ではあまり変わらない)
  • フラボノイド:尿酸排泄促進
  • 食物繊維:プリン体の吸収抑制
  • 適量のワイン:ポリフェノールが尿酸排泄促進
  • コーヒー:1日4杯以上でデータあり

思うこと

食事は知識をもって食べることが大事ということ。

食べたいものは食べてよし!しかし、どこかでしっかりフォローする。

無意識に食べているものは排除する。

酒だって飲んじゃだめとは言ってないです。適量があります。

昔とは違い飽食の時代。

節制と選択はある程度必要。

ただ美味しいもの楽しくとる食事も必要。

『必要なものを必要なだけ美味しく、楽しくいただく。』

健康でいれるように考えて生活していくところに今の世の中は向かっていけば良いと思います。

薬に頼らなくても生きていける。

楽しく、健康的な生活をいつまでも。

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とか言いたい30代。
約6年間のドラックストア・調剤薬局経験を通して、化粧品・雑貨・医薬品・食品・店舗マネージメント・在宅医療など、あらゆることを学んできた。すごく大変で、地獄で、ブラック感はあったがやりがいだけでやってこれた。
しかし、ついに仕事(薬剤師)から開放されて好きなことをし自由に生きたくなり、退職。もう二度と薬剤師には戻らないと決意するが・・・

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