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【薬剤師がまとめた】ニキビ治療のアドバイス②〈お薬編〉

投稿日:2017-08-20 更新日:

こんにちは、めでぃすけ(@Medisuke_twです。

ニキビ治療の外用薬は最近、ものすごい勢いで世界標準に近づいてるのでワクワクしますね!(今は皮膚科領域の処方箋を全くさわらないので今更ですが・・・)

理解しやすいし、身近な疾患だし患者も真剣に治したい方が多いので気持ちがノリます!

ニキビの塗り薬は単純でわかりやすい

ニキビイラスト

ニキビとは?

『ニキビ』と言われる尋常性ざ瘡は、面皰を初発疹として、毛孔、脂腺に一致して発症する慢性炎症性疾患である。毛包漏斗部の角化異常、毛包内への皮脂の貯留、アクネ菌(Propionibacterium acnes:P.acnes)の増殖による炎症を病因とする。

正直、私もこの説明じゃあ漢字多くて意味わからん・・・いつもイライラさせられます。

ニキビ』は簡単に言えば、①毛穴が詰まって皮脂が溜まる②菌が増殖して炎症を起こすことでできるんですね!!(少し語気強め)

だから、ニキビの薬のほとんどは、上記のをなんとかする薬しかないんです。(今回内服薬の話は触れない)

ニキビの出来方

①毛穴の詰まりを抑え、皮脂が溜まらないようにする塗り薬(ピーリング作用)

  • *ディフェリンゲル(成分:アダパレン0.1%)◀2008年10月発売
  • ベピオゲル(成分:過酸化ベンゾイル2.5%)◀2015年4月発売
  • デュアック配合ゲル(成分:過酸化ベンゾイル3%&クリンダマイシン1%)◀2015年7月発売
  • エピデュオゲル(成分:*アダパレン0.1%&過酸化ベンゾイル2.5%)◀2016年11月発売

*ディフェリンゲル(アダパレン)のみ表皮角化細胞の分化(細胞増殖みたいな感じ)を抑制し毛穴を開かせ面皰を減少させる効果→毛穴の角化メカニズム正常化作用で毛穴をつまらないようにしている

ピーリング作用なので、副作用として、皮膚の乾燥や不快感・ヒリヒリ感・赤くなるなどありますが、一時的なものが多く慣れてくれば治まります。なので、皮膚が弱い人、患部に傷がある人は避けることも多いですね。

おまけ ▼昔からのニキビ治療で使われている製剤

  • イオウ製剤外用(医療用だとイオウカンフルローション、市販薬だとクレアラシル・ビフナイト・アクネスなど)
  • アゼライン酸(昔から海外でニキビ治療薬で使われている成分)

②ニキビの原因菌を抑えて、炎症を抑える(抗菌作用)

主にニキビ、黄色ニキビに使います。

  • ダラシンTゲル(成分:クリンダマイシン)
  • アクアチムクリーム・ローション(成分:ナジフロキサシン)◀アクアチム軟膏は痤瘡(ニキビ)の適応なし
  • ゼビアックスローション(成分:オゼノキサシン)◀2016年1月発売

昔から、ニキビ業界を支えてきた抗菌薬です。この2つに加え各種抗生物質(抗菌剤)外用剤も使うことがあります。抗菌作用のあるこれらの薬では、薬が効かなくなる耐性菌の問題があり、使用頻度が徐々に減ってきています。
欧米では抗菌薬によるアクネ菌の耐性化が大きな問題になっていて、国によっては50%以上が耐性菌という状態もあるみたいです。

なので、今後は新しい成分でまだ耐性菌の報告がないものか、耐性菌ができにくい成分の時代になってくると思います。

以下の薬が今後のニキビ菌に対して活躍してくれる塗り薬達です。

  • ベピオゲル(成分:過酸化ベンゾイル2.5%)
  • デュアック配合ゲル(成分:過酸化ベンゾイル3%&クリンダマイシン1%)
  • ゼビアックスローション(成分:オゼノキサシン)◀2016年1月発売
  • エピデュオゲル(成分:アダパレン0.1%&過酸化ベンゾイル2.5%)

つまり、

ここまでで、言いたいのは過酸化ベンゾイルすごいぞ!ってことです。

①にも②にも登場しているのは、過酸化ベンゾイルとのその配合剤ですからね。

なので、私は今のところ、このベピオゲルの成分過酸化ベンゾイル(BPO)最も優秀な成分だと思ってます。(2017年現在)

私のお気に入り、過酸化ベンゾイル(BPO)

ベピオゲル

過酸化ベンゾイルがすごいのは、この成分だけでニキビ治療に必要な①と②の効果を持っているということ。しかも、②の抗菌作用は、欧米では1960年代から使用しているが、耐性菌の報告が無いという優れもの。

過酸化ベンゾイルの効果は以下の3つ

  • 角質剥離作用(ピーリング作用)
  • 抗菌作用(強力な抗酸化作用によるもの。ゆえに耐性菌が発生しにくい。ゆえに長期使用できる!)
  • 抗炎症効果(炎症を起こす物質が作られないようにする)

欠点・副作用は、

  • ピーリング作用があるので、刺激感・落屑(皮膚が細かく剥がれること)・紅斑(赤くなる)・乾燥など。なので、粘膜・傷口は避けることと、紫外線が当たらないようにすること。
  • 漂白作用があるので、髪や衣類につかないようにすること。
  • 25℃以下で保管すること。

2015年4月日本でやっと医療用医薬品として販売された『ペピオゲル(成分:過酸化ベンゾイル)

この成分は、アメリカでは最も評価が高いニキビ薬で、海外ではもはや一般的なニキビ薬で市販でも買えます。濃度が高い過酸化ベンゾイル5%、10%ものが市販で買えます。(日本だと医師が処方する処方箋医薬品のベピオで2.5%、デュアック配合ゲルで3%)

一般的成分なので、海外版プロアクティブはこの過酸化ベンゾイルを主成分として使っています。

患者
海外版は日本版のプロアクティブと成分が違うの?!
日本のプロアクティブの成分は?
めでぃすけ
日本のプロアクティブはサリチル酸を主成分としているみたいですね。これもピーリング作用と抗菌作用があります。

過酸化ベンゾイルが日本で一般化されてないのは、使用開始してまもなく刺激感や赤斑、乾燥がでやすい薬だからだと思います。

やっぱ、過酸化ベンゾイルパイセンはすごいわ〜

化粧品・医薬品塗る順番&塗り方

肌をケアする女性

塗り薬はただつければ良いのかというと、そうではなく副作用、作用機序などの観点からオススメの使う順番があります。化粧品などのスキンケアアイテムなども含めて、よく薬局で聞かれるので、基本的な塗る順番と塗り方を載せときます。

塗る順番

  1. (クレンジング)◀夜だけで男性はやらないことが多い
  2. 洗顔
  3. 化粧水
  4. 乳液
  5. (クリーム)◀使う人だけ
  6. 保湿剤(ヒルドイドソフトなど)◀医薬品
  7. ピーリング作用のニキビの塗り薬(上記①の薬)
  8. 抗菌作用のニキビの塗り薬(上記②の薬)

ちなみに、化粧品・乳液などは低刺激性保湿化粧品(ノンコメドジェニックの表示があるもの)をオススメします。
※ノンコメドジェニック:ニキビができにくいことを確認している化粧品

塗り方

化粧水、乳液など化粧品は顔全体に塗るのは大丈夫だと思います。

保湿剤・ピーリング作用のある塗り薬はニキビ箇所があるところに基本的に面塗りで広めに塗ります。その後、上から抗菌作用のニキビの塗り薬をニキビ箇所に点塗りでポツポツ塗りましょう。(症状や考え方により違う塗り方も存在はします。ベピオやエピデュオなどは徐々に塗る面積を拡げるよう指導)

ニキビ治療薬への思い

本当はもっと、ニキビ治療薬の最近の発展について語りたかったんですが、私はニキビができたら速攻自分でオペ(つぶして中から白いやつビュルッって出すやつ)してしまうので、あまり語らないほうが良いなと思ってしまいました。

でも、海外に比べて日本はニキビ治療薬は後進国だったんだなぁ〜とつくづく思うのでした。

洗顔の仕方・順番・注意など書いた
↓【薬剤師がまとめた】ニキビ治療のアドバイス①〈洗顔編〉↓もよかったらどうぞ!

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とか言いたい30代。
約6年間のドラックストア・調剤薬局経験を通して、化粧品・雑貨・医薬品・食品・店舗マネージメント・在宅医療など、あらゆることを学んできた。すごく大変で、地獄で、ブラック感はあったがやりがいだけでやってこれた。
しかし、ついに仕事(薬剤師)から開放されて好きなことをし自由に生きたくなり、退職。もう二度と薬剤師には戻らないと決意するが・・・

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