こんにちは、めでぃすけ(@Medisuke_tw)です。
痛風といえば尿酸値。
尿酸値といえばプリン体。
というぐらい、みなさんプリン体を多く摂ると痛風になるんじゃないかと、なんとなく知っている時代。
魚卵や肉、ビールなど贅沢品に多く含まれているんじゃないかと。
たしかに間違ってはいません。
しかし、これだけじゃ誤解をしている可能性がありそうです。
なので今回はまず尿酸値・プリン体の誤解を少し解いていき、贅沢品を食べる恐怖を少しでも減らし、楽しく食事ができるようになれたら嬉しいです。
目次
うにいくら丼はもう怖くない
旅行で漁港に行くと美味しい海鮮もの、食べたくなりますよね。
うにいくら丼を『痛風丼』
ビールもつけて『痛風丼セットや!』なんて言った人も少なくはないでしょう。
しかしその表現、少し誤解もあります。
ウニは確かにプリン体は多めですが、同じ重さで比較するとタコと同じです。(日本食品標準成分表より)
イクラは実はプリン体は少なく、「日本痛風・核酸代謝学会」のガイドブックにはイクラのプリン体は「極めて少ない」と書かれています。
ビールもプリン体が多いイメージがあります。キングオブジャパニーズビールのキリン一番搾り350ml缶で冷奴100gと同じくらいです。
冷奴と言われるとプリン体のイメージないですよね。イクラと同じ「極めて少ない」に分類されます。
しかしビールに関しては、プリン体の問題というよりアルコールと糖質が大問題なのです。なので、後ほど説明します。
それにプリン体から作られる尿酸は、食べ物などの外因性の影響は少ないことが明らかになっています。
みなさま。
「痛風丼セット」◀意外に好きな表現だけでもかなり誤解はあったんではないでしょうか。
これから尿酸値の世界を少しわかりやすく、そして最近の情報も交えて正しい尿酸値の話をしていきます。
そもそも痛風・尿酸・プリン体とは
痛風とは、血清尿酸値(血液中の尿酸の濃度)が高くなることで、関節などで尿酸が結晶化して炎症がおきる病気です。
よく痛風は『風があたっても痛い』から痛風と言われていますが、本当は『痛い病気』という意味で、病気という意味で『風』は使われています。
とにかく痛いっ!ということでは同じですね笑。
しかし、痛風は尿酸値が高めでも発症率は意外に低いんです。
高尿酸血症という痛風のもとになる病気があり、一般的に血清尿酸値が7.0mg/dL以上を高尿酸血症と呼びます。
海外のデータですが、血清尿酸値7.0~7.9mg/dLで痛風関節炎の発症率4.1%、血清尿酸値8.0~8.9mg/dLで発症率8.4%と報告されています。
もちろん、尿酸値が高くなればなるほど痛風の発症率も上がります。
血清尿酸値が9.0mg/dLを超えてくると発症率はグッと上がり、血清尿酸値9.0~9.9mg/dLで発症率43.2%、10.0mg/dL以上で70.2%になります。
(尿酸値が低くても痛風の痛みが出る人もいます。)
尿酸とはプリン体が体内で分解・代謝した最終的なもの。
通常血液中に一定量溶けていて、主に尿の中に排泄される。
血液中の尿酸の濃度が7.0mg/dL以上の状態を高尿酸血症という。
尿酸は結晶化(尿酸一ナトリウム)すると針状になる。
悪いところだけではなく良いところもあり、尿酸はビタミンCなみの抗酸化力もあるんです。
そんなのが細い血管にできたら、そりゃ炎症も起きるし痛いよね。

尿酸の結晶
プリン体とは遺伝子とかで出てくるDNAやRNAの構成成分や、体のエネルギーの運搬体として働くATPなど、分子構造にプリン骨格を持つ物質のことです。
ようは、生物を作っている成分の1つです。
プリン体はDNA、RNAの構成成分なので生物なら含まれているし、人間も摂取しなくても体の中にもともとたくさん存在するものです。
誤解を解決!うにいくら丼OKです。
プリン体の多い・少ない食品の見分け方
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン』では食品100g中のプリン体の含有量に応じて、以下のように評価しています。
プリン体含有量 | 評価 |
50mg以下 | 極めて少ない |
50〜100mg | 少ない |
200〜300mg | 多い |
300mg以上 | 極めて多い |
なので、食品100g中にプリン体が200mgより多い食品をプリン体が多いと考えて良いでしょう。
そして今度は食品100g中のプリン体の含有量の表です。
魚卵はプリン体が多い食品だと誤解されがちですが、数の子、キャビア、すじこやイクラはあまり多くないようですね。もちろんたくさん食べればプリン体も多く摂取することになります。
しかし白子は別格に高いです。
なので最初に出てきたウニもイクラも実はプリン体が多い食品とは言いにくいということです。
なんとなく理解できていれば、プリン体の多い少ないはある程度判断できるかもしれません。
判断の方法教えます。
正しいプリン体が多い食品の見分け方
上のプリン体含有量の表をさらにわかりやすく見る方法です。
- 100gあたりの細胞数の多いものに多い(動物の内臓系・レバーなど)
- 細胞分裂しているものに多い(白子は遺伝子(DNA)の塊)
- 水分が蒸発してプリン体が濃縮されているものに多い(干物、乾物)
- 肉類、魚類の多くは中程度、野菜類は「極めて少ない」に属する(一部プリン体50mg以上含む野菜をプリンリッチ野菜と呼ぶ)
- 一部健康食品にプリン体の多いものがある
実はプリン体を多くとっても大丈夫かも
一般的には食事療法でプリン体は制限することが常識化していますよね。
しかし、あまり厳格にやりすぎると食事も楽しくないですよね。
そんな人たちに朗報です。
最近の研究では尿酸値が上がる原因に、食事によるプリン体の影響は少ないことが明らかになっています。
プリン体の摂取制限より、アルコール制限とエネルギー制限のほうが効果的ということが明らかになってます。
おどろきですよね。
プリン体の話なのに。
ただ、影響が少ないだけで尿酸値が高い人は引き続き注意したほうが良いでしょう。
ビールはやっぱり危険!ワインが最適!
私のようにお酒好きには伝えておかなければいけません。
ビールは注意です。問題はプリン体ではないことはもう説明してあるのでわかっていると思います。
問題はアルコールと糖質です。
アルコールは体内でプリン体の分解を促進し、尿酸の量を増やします。
しかもアルコールは結果的に尿酸の排泄も低下させるので、ダブルでやばいです。
糖質も尿酸を増やしたり排泄を低下したり、脂質異常症の原因になり脂質異常症も結果的に尿酸の排泄を低下させます。
ただアルコールの中でも辛口のワインが尿酸値を下げたというデータがありますし、糖質も低く、白ワインは血糖値をさげるデータもあるのでアルコール飲むならワインが最適となるわけです。
正しく恐れる痛風・尿酸値・プリン体
痛風についてはあまり触れず、尿酸値・プリン体のことを優先してしまいました。
なぜなら、痛風の話をする前段階で尿酸値・プリン体への誤解が医療人も含めて多いからです。
私も薬剤師始めた頃は世の中の多くの人と同じように、プリン体の多い食品への誤解、尿酸値をあげてしまう機序への誤解から、うにいくら丼は『痛風丼』だと思っていました。
私自身、大学時代に尿酸値が異常に高い時があり(バスケと飲み会で…)食事を少し意識していた時期もあったことを思い出しました。
塩分、糖質と違って、プリン体!?ってなっていたなぁ〜
そんな感じの人たちも含めて、なるべく食べたいものを楽しく食べれるように正しい知識を持つ人が増えればいいなと思います。
今回は詳しく書いてないですが、尿酸値をあげない食事法や尿酸値が高い人は痛風以外に怖い疾患があるということはまた今度。
今回誤解が多いという題なので、医療系書籍や尿酸の研究している人の記事や『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン』第2版と改訂第3版など、第一線の資料を参考に、なるべく簡単な言い回しをして記事を書きました。
楽しく健康的に食事を楽しみましょう
高尿酸値の対策など次回予告
続きとして、次回は対策なども含めて
- なぜ尿酸値7.0mg/dL以上が危ないのか
- 痛風以外の怖い病気→最悪、死
- 尿酸値は6mg/dL以下を目標に
- 尿酸値が上がる3つのタイプ+1
- 尿酸値をあげない方法
これら5点について書いてあります。
↓もしよければ読んでみてください。↓